2010年04月

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アジアと第三世界に敵対する日米・新軍事基地建設 ――沖縄、ジブチ共和国

●自衛隊の「自前施設」をジブチに建設?

 前回の続き。ざっと調べた範囲では、在ジブチ日本軍基地に関する最初の報道は、2009年7月30日付のロイター記事(共同通信配信)のようである。元記事はすでに削除されているが、内容は別のサイトで読むことができたので、以下に転載する(強調は引用者による。以下同様)。


 政府は30日、ソマリア沖の海賊対策にあたる自衛隊が拠点とするアフリカ東部ジブチにP3C哨戒機の駐機場や隊員宿舎など自前の施設を建設する方針を固めた。これまでは民間や米軍の施設を借りていたが、本格的な態勢をとることで国際貢献に取り組む姿勢をアピールする狙いもある。

 海賊対策で派遣しているP3C哨戒機や護衛艦の活動根拠は、自衛隊法に基づく海上警備行動から6月に成立した海賊対処法に切り替えられた。政府筋は「活動本格化に向け米軍からも独自施設を求められており、来年には完成させたい」としている。

 現在、ジブチに駐留している陸上、海上自衛隊員約150人はジブチ空港近くの米軍宿舎に居住。P3C2機の駐機場やけん引車やトラックなどを収める格納庫はアラブ首長国連邦(UAE)の首都ドバイに本拠を置く空港管理会社から借りている。政府筋によると、空港周辺に駐機場、宿舎を建設する方向で空港管理会社と協議を進めている。

 ジブチには地の利や治安の良さからソマリア沖海賊対策に参加している各国部隊が集結。日本は海自の護衛艦2隻が3月から日本関連船の護衛を開始し、6月からはP3Cが上空からの警戒監視を実施している。
2009/07/30 18:12 【共同通信】


 ロイター:「海賊対策でジブチに自前施設建設 政府、哨戒機駐機場や隊員宿舎」
 http://jp.reuters.com/article/kyodoPoliticsNews/idJP2009073001000594

 共同通信によれば、日本がジブチに建設しようとしているのは、「P3C哨戒機の駐機場や隊員宿舎など自前の施設」、「駐機場、宿舎」ということになっているが、どう考えてもこれは軍事基地のことである。というか、これが「自前施設」で通るなら、在日米軍基地もすべて米軍の「自前施設」にすぎないということになり、基地問題そのものが問えなくなるだろう。

 ちなみに、「自前施設」という怪しげな日本語は、いったん他言語に訳してから日本語に戻すと、ちゃんと「基地」になるようだ(例えば翌7月31日付の The Japan Times 記事など)。より正確に言えば、日本がジブチに建設しようとしているのは、「自衛隊」の「自前施設」などではなく、日本軍の対アフリカ侵略基地に他ならない。「アラブ首長国連邦(UAE)の首都ドバイに本拠を置く」「空港管理会社と協議」して、ジブチにおける軍事基地建設を強行しようとする日本政府の横暴ぶりは、植民地宗主国さながらである。これに比べれば、普天間基地の辺野古「移設」を日本政府に要求している米国の方が、遥かにマシであると思える。


●「基地と共存する街、ジブチ」?

 外務省の「ジブチ便り」なる連載には、「在ジブチ外務省連絡事務所」の杉尾透(▼1)による「(第5話)「基地と共存する街、ジブチ」」というゴミのような文章が掲載されている。せっかくなので、外務省のゴミぶりも軽く観察しておこう。


 隊員の皆さんは、慣れないフランス語、アフリカの風習に悪戦苦闘しながらも、街中での飲食、生活を通じてジブチの人々と日々触れ合っています。例えば、レストランでは自衛隊員自作の日本語のメニューが多く見受けられます。店員と共同で製作したものです。こうした交流もあってか日本の知名度も随分上がり、私自身、街中で「ジャポネ!(日本人!)」と声をかけられることが多くなりました。


 ・・・なんだか東南アジアを占領中の「皇軍」兵士の手記を読んでいるようで、既視感たっぷりである。それにしても、日本軍兵士(海外に侵攻しているのだから「自衛隊」員とは呼べないだろう)が「ジブチの人々と日々触れ合ってい」る例が、「自衛隊員自作の日本語のメニュー」だけとは、いくらなんでもあんまりではないだろうか。彼らが「店員」からメニューを徴発して日本語を書き込んだのか、注文さえまともにできない「客」にげんなりした「店員」がそうさせたのかは不明だが、他国に一方的に侵攻し、他国民に自国の文化や言語を一方的に理解させようとすることを、「交流」や「連帯」と呼ぶような破綻した精神構造は、「皇軍」兵士も「自衛隊」員もたいして変わらないように思う(▼2)


 ジブチを活動の拠点としているのは、実は日本だけではありません。フランスはジブチの独立前からこの地に軍隊を置き、ジブチの非常時にはともに闘うことを約束しています。アメリカもまた2001年の同時多発テロを契機にジブチに基地を設置しており、仏米両軍あわせて5,000人以上の規模となっています。

 彼らの存在は、政治的に不安定なアフリカの角地域において、ジブチの安定化に一役買っています。これに海賊対策を行う日本自衛隊、EU部隊等が加わっており、ジブチを舞台とした各国軍隊の交流も盛んに行われています。ジブチはさながら「基地の街」のようです。


 「フランスはジブチの独立前からこの地に軍隊を置き、ジブチの非常時にはともに闘うことを約束しています」って・・・。ここまで堂々と植民地主義を絶賛されると、まともに突っ込む気にもなれないが(▼3)、「ジブチを舞台とした各国軍隊の交流も盛んに行われてい」る(日本を含む各国軍隊に占領されている)今こそ「ジブチの非常時」であることは間違いなさそうだ。


●アジア版NATOを「主導」する日本の軍拡路線

 ところで、「本格的な態勢をとることで国際貢献に取り組む姿勢をアピールする狙いもある」(共同通信)などという割には、在ジブチ日本軍基地建設に関する国内報道はほとんどなく、もっぱら海外のメディアが報じている。以下にいくつか挙げてみよう。

 まずは2009年12月22日付のチャイナネットの記事。日本の軍備拡張がアジア版NATOにおける支配的地位を確保するためであるという指摘は、民主党政権成立後もたいへん的を射たものであると思う(というより的自体が変わっていないのだろう)。


軍備拡張の道を開きたい日本

 最近しだいに平和憲法から離れている日本は、攻撃武器を保有し、海上自衛隊だけでもヘリコプター搭載駆逐艦「日向」、重巡洋艦「あたご」など世界先端の軍艦を配置しているほかにも、米国の最新鋭戦闘機F-35Bの購入を予定しており、右翼の政界人は地域間や世界的な問題で重要な役割を求めて軍備拡張に尽力している。

 今年は日本の軍事動向が活発だった1年だ。3 月14日にはソマリア沖の海賊対策という名目で、2隻の護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」が派遣された。そして最新の「海賊対処法案」により保護対象を外国船舶にも拡大している。

 5月25日には北朝鮮の核問題を口実に、盛んに核保有論を繰り返し、武器輸出禁止の緩和を企図して、海外での軍事協力を求めた。

 7月31日には『ジャパンタイムス』が、日本はソマリアの隣国のジブチに基地を建て、海賊対策を実施する自衛隊の隊員とP-3C哨戒機を駐屯すると報道。

 9月前には明らかに日本の軍事政策に危険な拡張傾向が表れ、日本はアジア版の北大西洋条約機構(NATO)の主要メンバーの役割を演じて、米国が中国を封じ込める手先になった。

 鳩山政権になった9月以後は、積極的に隣国との関係改善に取り組み、沖縄の米軍普天間基地の移設問題については、北沢俊美防衛大臣も前任の浜田靖一氏の軍事冒険路線を変えて、少なからず慎重で自制の様子が見られた。しかし鳩山政権の新政策がいつまで続くかは、国内の年金や医療、就業などの問題を解決する能力を見る必要がある。国内問題を上手く解決することができなければ、鳩山政権の対外政策は槿花一日の栄だ。

 日本の軍事政策はまだ大国関係に影響を受けている。その上、中日の地理的利益ラインはもともと重なっており、日本がアジアに戻るのであれば、短期的には両国の地域問題では抵抗より協力が多いが、長期的に見れば2つの強国の競争には常に摩擦が絶えず、日本の軍備拡張の勢が弱まることはない。 


 China Net:「軍備拡張の道を開きたい日本 アジア軍事回顧」
 http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2009-12/22/content_19113061.htm

 直近では、先日紹介した「Stop NATO」の記事元と思われる、2010年4月23日付の Yahoo! NEWS(AFP通信)や、4月28日付の The Voice of Russia の「対テロ戦争」礼賛記事があり、後者はGoogleニュースからも検索できる。


●アジアと第三世界に敵対する日米・新軍事基地建設

 在日米軍基地が(沖縄への露骨な差別政策を含めて)アジアに敵対する日米安保体制の問題であるように、在ジブチ日本軍基地建設は第三世界に敵対する日米安保体制および「対テロ戦争」の問題である。したがって、日米の新基地建設を共に阻止することは、本土の日本人が他国・他地域への差別を自ら克服しようとしない限り、不可能だろう、と私は思う。ところが、普天間基地の「県内移設」に反対するリベラル・左派の一部には、明らかに他国・他民族を見下しているとしか思えない主張が散見される。以下に一例を挙げておく。


 エコツーリズムに失敗したパラオのアンガウル島が、普天間移転の代替地として名乗りを上げた。マリアナバラエティーのサイトによると、パラオの議会は、ジョンソン・トリビロング大統領にアンガウル州を沖縄の普天間飛行場の代替地として立候補するよう求める決議を採択したという。
http://www.mvariety.com/2010042826058/local-news/senate-asks-u.s.-to-consider-angaur-as-futenma-relocation-site.php

 先日のテニアンに続く立候補だ。テニアンもいいけど、パラオも、いいんじゃない、米兵にとっても。前線から帰ってきた保養地としてぴったりだ。〔中略〕

一時はエコツーリズムを目指したが、どうも失敗したようで、定期航空便がなくなったようだ。

人口も160人だから、沖縄と比較すれば基地の与える悪影響は小さいといえる。

もちろん、経済的にはかなりのメリットを見込んでいるのだろう。

こんなところから歓迎されるなんて、うらやましいぞ、海兵隊の兄ちゃん、姉ちゃん!


 情報流通計画:「Welcome to Palau, marines~パラオまで普天間代替立候補へ」
 http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/5bf44f205016ff5de217e6010528eb53

 参考までにTwitterでの類似発言も紹介しておこう。


日本は払ってまでいてもらっているんですから、大きな違いですね…。RT @yamamoto_k: 誘致すると金がもらえるからかもRT @yamebun: パラオまで普天間代替立候補へ(http://bit.ly/biCJJw) #futenma #kenmintaikai


 http://twitter.com/yamebun/status/13077214757

 ヤメ蚊氏の一連の発言は、Twitter上で多くのユーザーから好意的にRT(引用)されており、在日米軍基地の第三世界へのアウトソーシングを、あたかも日米による「経済的恩恵」であるかのように言いくるめる傲慢な論理が拡散している。こんな論理では、たとえ普天間の「国内移設」を阻止することができたとしても(それさえ怪しいが)、在ジブチ日本軍基地の建設にはろくに反対できないだろうし、何より「先進国」としての特権を維持するための「対テロ戦争」にはまったく対抗できないだろう。「基地の押しつけ」に原則的に反対するためには、差別を否定しない人々と共闘しないことこそが、決定的に重要であると思う。


▼1 ちなみに、杉尾は伊勢崎賢治が副理事長を務めるNGOのイベントにもパネリストとして登壇して、以下のような発言をしている。


〔前略〕世の中で紛争はいろいろなところで起きており、それを国際社会は一生懸命止めようとしていますが、紛争はやはり逆戻りすることがあります。例えば、私は98年から2年間、中央アフリカというところに勤務していたのですが、そこも何回となくクーデターや紛争を繰り返し、せっかく選挙をして民主化しても、元に戻ってしまったりと、そういうことを繰り返しています。


 難民を助ける会:「1月29日南部スーダン復興の現状と課題 シンポジウム」
 http://www.aarjapan.gr.jp/lib/event/img/event0901_sudansymporeport.pdf

 中央アフリカにおける「過去五〇〇年の重荷と、独立以前の利権を温存確保し、あわよくば、その搾取(exploitation)の度合いを高めようとするネオコロニアリズムの重圧」(p.209)については、藤永茂著『『闇の奥』の奥――コンラッド・植民地主義・アフリカの重荷』(三交社、2006年)に詳しい。

▼2 4月22日付の自衛隊広報紙『朝雲』の記事もひどい。日本軍兵士が占領地の「福祉施設を訪れて子供たちに福笑い」を「教え」るという状況のグロテスクさには、ほとんど吐き気がする。


 任務の合間の現地交流も盛んで、航空隊の隊員が福祉施設を訪れて子供たちに福笑いや段ボールで作った空気砲の実験を教えたり、航空隊と米海軍とのサッカー交流や、ジブチ・キャンプ内では先任下士官によるミーティングが行われるなど、海自部隊は各種交流を通じて日本の存在をPRしている。


 朝雲ニュース:「アデン湾海賊対処 船団護衛累計793隻に 派遣隊員 施設の子供たちと交流も」
 http://www.asagumo-news.com/news/201004/100422/10042203.htm

▼3 本文とはまったく関係ないが、佐藤優が異様な愛着を持つ偏微分ネタも、真面目に突っ込むだけバカバカしいものであるらしい。


この一連の馬鹿発言を、佐藤優氏の学生時代の専攻だった神学でのアナロジーで言わせてもらうと、あたかも「三位一体とは、この言葉に数字の三が入っていることから、三角形と考えてもよく、このことは、神と聖霊と神の子イエスの間の関係性が三角関係、つまり三角形の内角の和は180度であり、一体ということは180度であるということに他ならないのです。」というレベルの馬鹿話を偉そうに吹聴しているってことだよ。全くもって恥ずかしいよね。


 wrong, rogue and booklog:「佐藤優と「偏微分(笑)」・ネタふり編: liber studiorum」
 http://kashino.tumblr.com/post/387463092/liber-studiorum

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