2010年08月

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「STOP!!無印良品キャンペーン」への賛同と若干の疑問について

 早尾貴紀氏のシュロモー・サンド評価に対する訂正にも少々関連して、「STOP!!無印良品キャンペーン」への賛同と若干の疑問について述べておきたい。

 まず基本的な立場についてだが、私は無印良品のイスラエル出店には反対であり、「STOP!!無印良品キャンペーン」にも概ね賛同しているし、この問題をご存じない方には下記のサイトをご覧になるようお勧めしたい。

 STOP!!無印良品キャンペーン:「アパルトヘイト国家イスラエル出店に反対します」
 http://palestine-heiwa.org/muji/

 ただ、その上で若干疑問に思う点があるので、あるいは杞憂かもしれないが、以下に指摘してみたい。

 「STOP!!無印良品キャンペーン」では、「今どきアパルトヘイトを支持する人なんてそうそういるとは思えません」という言葉が繰り返し語られることで、「アパルトヘイト国家」イスラエルの異常さが、「アパルトヘイトは終わるべきだと思いますか?Yes、Noでお答えください」という質問に対してはおそらく「Yes」と答えるであろう、日本人マジョリティの感覚に対置される形で、読者に強く印象づけられるようになっている(と思う)(▼1)。けれども、アパルトヘイトを(日本社会の一般的な価値観とは相容れない)イスラエルに特異な問題として提示するような「キャンペーン」の論理は、短期的には「パレスチナ問題」に対する世論の喚起に大きく寄与するとしても、長期的には「パレスチナ問題」の解決を逆に阻む悪影響を残しかねないのではないだろうか。

 もっとはっきり書くと、単純な疑問として、アパルトヘイト時代の南アフリカ共和国と同様の法律――外国人登録制度――をいまだに廃止していないどころか、むしろ(「新たな在留管理制度」「外国人住民票制度」へと)強化すらしている日本は、果たしてアパルトヘイト国家ではないと言えるのだろうか?かつて朝鮮人を大村収容所に監禁し、今も第三世界の難民を入管収容所に隔離して、殺害をも含めた制度的な弾圧を続けている国家の国民は、総体としてアパルトヘイトを根底から拒否することができているのだろうか?「外国人お断り」の大家が跳梁し(「外国人・ペット不可」というヘイトコメントさえ珍しくない)、マジョリティがそれを許しているような社会は、アパルトヘイトを支持していないと言い切れるのだろうか?などなど・・・・・・。残念ながら、これらの問いに「Yes」と答えることは、私にはとても難しい。

 たとえ、このキャンペーンが功を奏して、無印良品がイスラエルへの出店を断念したとしても(私もそうなることを願っているが)、日本企業がごく当たり前に海外展開をなしうる様々な条件――その最大の要因が植民地主義の継続・未清算だろう――を実効的に解体していかない限り、今回のような事態は今後いくらでも繰り返されかねないと考えられる。そうであるとすれば、(私を含めて)日本企業のイスラエル進出に反対する日本人に求められるのは、アパルトヘイトを、イスラエルという国家の異常性に収斂させることなく、つまり、自分たち自身が実はそれを支持しているのではないかという、(日本人マジョリティにとっては)「不快」な問題提起とともに――ある意味で愚直に――語っていくことではないだろうか。


 Q. 様々な国が様々な不正を働いていると思います。なぜイスラエルのことだけを言うのですか?

 様々な国が驚くべき不正を働いているのは、その通りだと思います。が、なぜここでイスラエルのことだけを言っているのかということについては、ここがイスラエル/パレスチナの情報サイトだからです。各地の情報を発信しているサイトはそれぞれにあり、ここではイスラエル/パレスチナの情報発信に特化しています。私たちも万能ではありませんので、なにもかもに同時に取り組むパワーはありませんが、他のところで他のことをしていないわけでもありません。もしあなたが必要性を感じることがあれば、どうかそのことを発信してください。 


 STOP!!無印良品キャンペーン:「よくある質問と答え」
 http://palestine-heiwa.org/muji/faq.html#q15

 念のため述べるが、私の疑問はこうした類型には当てはまらない。私の疑問は、「キャンペーン」が「イスラエル/パレスチナの情報発信に特化してい」るのであれば、イスラエルのアパルトヘイトが日本の制度的・社会的構造とは相容れないかのように表象することは、それは事実とは異なるのだから、避けるべきではないのか、というものである。

 それからもう一つ、これは疑問ではなく感想なのだが、日本とイスラエルの経済規模は比較にならないほど違うのだから(2009年の名目GDPで日本がイスラエルの26倍)、日本企業によるイスラエルへの経済進出は、そのまま経済侵略と呼び変えて差し支えないように思う。無印良品のイスラエル出店は、「キャンペーン」で指摘されているように、「イスラエルに対して、アパルトヘイト政策への支持だとのサインを送ってしまう」効果を持つ――つまりシオニズムへの加担である――という点で批判すべきだが、一方で、それがイスラエルの植民地経済自体に対する搾取の構造化という側面をも持つ――シオニズムからのさらなる収奪ですらある――かもしれないことも、批判の対象にしうると思う。

 なぜこんなことを述べるかと言うと、「イスラエルという最悪の侵略国家に対しては、日本はせいぜいその加担者どまりであるが、加担者になるのはよくないから、それは拒否するべきである」というような認識が、「キャンペーン」に賛同する人々の意識に浸透していくと仮定した場合、それは日本国家/日本社会の侵略性を結果として免罪することにつながってしまうのではないか、と危惧されるからである。これも先に述べた問題と重なるが、日本がイスラエルに対してさえ経済侵略を遂行しうる国であるということも、ここで指摘しておきたいと思う。

 畢竟、シオニズムに対抗する日本国民の思想と運動は、日本国家/日本社会の侵略性に対抗する思想と運動と切り離して深められるものではないだろう。幸いなことに、「STOP!!無印良品キャンペーン」のtwitter(STOPMUJI)では、両者を結ぶ試みもなされている(▼2)。こうした取り組みを支持し、シオニズムに対抗しうる思想と運動が日本社会で深化していくことを強く希望する。


▼1 「イスラエルにも「法」の概念あるんや」というツイートもその一例だろう。

http://twitter.com/STOPMUJI/status/20666244103

▼2 例えば以下など。

http://twitter.com/STOPMUJI/status/20764213873

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