2011年02月

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湯浅誠と与謝野馨現象未満

 前二回にわたって湯浅誠と佐藤優の「対話集会」を観察してきたが、「湯浅誠書店」では初回のトークセッションとして佐高信との対談が行われている(「対話集会」と同じく下記サイトで視聴できる)。個人的な感想を言えば、持ち時間の数分の一を「芸者」ネタの政談に消費する佐高のダメさ加減が閃光を放つ対談だと思うが、それは今さらどうでもよい。どうでもよくないのは、湯浅がこの対談で与謝野馨への信頼感を表明していることである。


湯浅:「私ね、話聞いてくれるっていう意味では与謝野さんですね。与謝野さんは(!)真面目に聞いてくれる。じーっとこっちを見て、あの、こっちは喋ってるんですけど。あれは驚きましたね。あんなにちゃんと話を政治家に聞いてもらうことって、まずないので。」(01:05:50-01:06:10)
佐高:「なるほどねえ。」(01:06:10-01:06:11)
湯浅:「それはすごく、こう、この人信用できるっていう感じが、してきますよ。」(01:06:12-01:06:18)(▼1)


 ジュンク堂書店作家書店:「湯浅誠書店」
 http://www.junkudo.co.jp/14sakka.html

 この発言を聞いて、いくらなんでも与謝野はないだろう、と思った読者は、私に劣らず認識が甘いと言える。なぜなら、私も今回初めて知って驚愕したのだが、「反貧困」に与謝野はあったのである。


SPECIAL GUEST (順不同)
宇都宮健児(反貧困ネットワーク代表)、雨宮処凛(作家)、
稲場雅紀(「動く→動かす」事務局長)、蔵端美幸(NHK社会部デスク)、
清水康之(ライフリンク代表)、鳩山由紀夫(民主党)、与謝野馨(たちあがれ日本)
小池晃(日本共産党)、福島瑞穂(社会民主党)


 反貧困たすけあいネットワーク:「チラシ完成!BREAD AND ROSES 6 ~私たちにパンと誇りを!~」
 http://d.hatena.ne.jp/tasukeai-net/20101210/1295327057

 ・・・・・・「反貧困たすけあいネットワーク」発足3周年記念イベント(2010年12月9日に六本木で開催)における与謝野の発言(あんなこともこんなことも言っている)と、主催者側(湯浅誠、河添誠)の与謝野への歓待ぶりも動画で確認済みなので、これも書き起こしておこう(▼2)。当然のことではあるが、与謝野に対する会場の拍手はまばらであり、一般参加者の多くは湯浅たちが与謝野をひどく厚遇していることに戸惑っているように思う(というか、私も当惑してしまうのだが)。

 ところで、「反貧困たすけあいネットワーク」主催のイベントに与謝野が登場したのは、実はこれが初めてではなく、確認できた範囲では、少なくとも2008年6月29日開催の「BREAD AND ROSES 2」(40:25-47:27)に始まって、2010年6月3日の「BREAD AND ROSES 5」にも与謝野は登壇し、「スペシャルゲスト」待遇で迎えられている。特に2010年6月といえば参院選前であり、とりわけこの時期に「反貧困たすけあいネットワーク」が「たちあがれ日本」の共同代表(当時)である与謝野を歓迎する姿勢を打ち出すことが、(湯浅たちを強く信頼している)「反貧困」運動の当事者や支援者に対して悪影響を与える――与謝野らの排外主義的主張に対する、彼ら・彼女らの警戒心や嫌悪感、批判的意識を弱める――方向に作用した(している)であろうことは、否定しようがないと思う。

 それでは、湯浅たちはこのことに対する責任をどのように考えているのだろうか。結論から言えば、湯浅は問題を「一人一人」の「見る目」に転嫁することで、自らが与謝野を持ち上げていることの責任を軽視ないし無化しようとしているように見える(強調は引用者による)。


6月3日、六本木のライブハウス、スーパーデラックスで「BREAD&ROSES5」が開催された。一緒にやっているKさんの発案で、「六本木」の「ライブハウス」などという、いままでの運動業界ではあまりやってこなかった試みに着手したのが3年前。いまではすっかりたすけあいネットの看板イベントとして定着している。

今回は、参議院選挙前ということもあって、政党政治家を多く呼んで「選挙シフト」で開催。民主党・中根やすひろ、自民党・加藤勝信、共産党・小池晃、たちあがれ日本・与謝野馨の各議員が参加してくれた。

驚いたのは、今は小党とはいえ、前財務大臣・経済財政担当大臣の与謝野さんが来てくれたこと。「他のイベントと勘違いしてるんじゃないか?」というのがもっぱらのウワサだったが、ご本人にその気配はなし。「この国の豊かさが失われてしまうんじゃないか」という危機感と自説をしっかりと説明して帰っていった。

こうした与野党をそろえてのイベントは、政治への関心を高め、一人一人が「どの政党の主張が妥当か」を見極める材料提供のためにある。選挙が絡むと「どうせキレイゴトしか言わない」という皮肉な見方はあるし、たしかにその気もある。でも、政治家からすれば、少しでも票を増やしたいのだから、あたりまえ。一つ一つの言葉から「本気度」を判断するこちらの「見る目」が問われることでもある。

イベントの内容は、ユーストリームで実況中継され、その画像は今でも見ることができる。URL:http://bit.ly/a0HUwu

まだ見ていない方はちょっとでも覗いて、各政党が若年のワーキングプア問題にどういう姿勢で臨んでいるのかを垣間見ていただきたい。

【湯浅】


 反貧困たすけあいネットワーク:「6/3 BREAD AND ROSES5~私たちにパンと誇りを!~イベント報告(その1)」
 http://d.hatena.ne.jp/tasukeai-net/20100617/1276579631

 湯浅はここで、政治家が「キレイゴトしか言わない」のは「あたりまえ」であり、政治家に騙されないことも含めて「こちらの「見る目」が問われる」という一般論を述べている(主催者側はあくまで情報提供役にすぎないという見解が示されているように思う)が、何より湯浅自身がイベント中にもブログ上でも(その他、佐高との対談などでも)与謝野馨という特定の政治家の「本気度」を称える姿勢を公的に鮮明にしている以上は、湯浅に信頼を置く当事者や支援者の一部が、「たちあがれ日本」や与謝野を支持したり、そこまで行かなくても警戒や批判を解いたり弱めたりするような判断をしたときに、そのことに対して湯浅が相応の責任を負うべきことは明らかであると思う(仮にそれすらも「貧困層の右傾化」という説明で片づけられてしまうのだとすれば、まさに「自己責任論」の極致だろう)。

 与謝野を持ち上げることの社会的悪影響(に対する自らの責任)を省みようとしない(ように少なくとも外からは見えてしまう)上記の湯浅の論理は、<佐藤優現象>を推進することの社会的悪影響などあたかも存在しないかのように振る舞っている、リベラル・左派メディア関係者のそれに通じる側面があるように思う。もっとも、湯浅の場合は、<佐藤優現象>推進メディアのように大衆を侮蔑していないからこそ、「一人一人」の判断を「尊重」するという理屈で、逆に自らの責任を軽視ないし無化するような論理になっているのだが。

 もちろん、与謝野の場合には、消費税はどうなんだという、わかりやすすぎる突っ込みどころがあるために、これが与謝野馨現象にまで発展する可能性はあまりないと思うが、消費税増税と格差是正のセットを一部のリベラル・左派が容認している「論壇」においては、与謝野馨現象未満のような不気味な期待論が行き交うことになるかもしれない(ただし、一般的にはほとんど説得力を持たないだろうが)。現に『世界』最新号(2011年3月号)では、例によって山口二郎がさっそく与謝野にエールを送っている(「民主党の“失敗”――政党政治の危機をどう乗り越えるか」)。山口はこの論文(というより最早プロパガンダのようなものであるが)で、「財務省と経済界という二つの主体」によって主導される消費税増税に反対する一方で、「大きな負担で大きな福祉国家を作る」=「日本人の生活を支え」るという「幅広い国民的合意」を調達した上での消費税増税には含みを持たせている(▼3)

 湯浅がこの落としどころを内心で容認してしまっているのかどうかは、私には判断がつかないが(そうではないと思うのだが)、いずれにせよ、一般に「貧困層の右傾化」として片づけられている現象が、与謝野馨を持ち上げるような――排外主義との共存を可能にしてしまうような――「反貧困」運動(を推進する指導的な人々)のあり方と無関係ではありえないことだけは、この機会に確認しておきたい。


(▼1) 一応前後の文脈も紹介しておくが、我ながら一体何を書き起こしているんだという感じである(語尾などに若干異なる箇所があるかもしれないが、ご容赦いただきたい)。「芸者というサバルタンな視点から政治を語れる俺」という佐高の女性観と自意識は相当痛いのではないかと思うが、それは今さらとして、佐高や湯浅が以下で批判している、相手との権力関係によって立ち振る舞いを豹変させる「残念な」人物の標本こそ、まさに佐藤優ではないのだろうか(「対話集会」がそのよい例である)。


佐高:「あるところの社長はね、これは名前は挙げられないけど、この人重役にしていいかどうかっていうときに、料亭に連れて行って、候補者を何人か。で、芸者に判断させる(笑)。芸者に判断させるっていうのは違うの。判断はさせないんだよ。判断は自分ですんだけど。芸者との応対を見るわけなんです。」(01:03:01-01:03:24)

湯浅:「ほー、ほー。ちょっと、わかるような気がします。あのー、タクシーとか呼んだときに、運転手さんに乱暴な口聞く人いますよね。あの、普通に私と話しているときは何か丁寧なんだけど、何か運転手さんに対しては、何かすごく上、上下にあるような言い方をする人ってのがいて。それは非常にその人の残念な面を見ているらしいから。そういう話ですよね。」(01:03:24-01:03:56)

佐高:「そう。わかるでしょ。例えばね。あのー、ものすごく反発招くあれしますが、菅と小沢が料亭に行った場合に、どっちがモテるか。決まってるんです。菅はモテないんです(笑)。つまり、わかんない話ばっかりするんです〔会場笑い〕。芸者にわかる話はしないの、菅は。できないんです。その、政治の話しかできない(笑)。それがいいかどうかはまたあれだけども、小沢はね、あんまり偉そうにしてるって言われるけども、そうじゃないんだよね。あの人、あのー、まあ、また話があれですけども、私があの、大好きな通産次官で佐橋滋って人、あの人、城山三郎が『官僚たちの夏』の主人公にした、通産次官にまでなりながら非武装平和を追求した人ですけどね(笑)。この人が芸者にモテたっていうんだよね。なんでかっていうとね。芸者の引く三味線なんかを本気で聞いてたんだよね。」(01:03:58-01:05:12)

湯浅:「はー、はー」(01:05:12-01:05:13)

佐高:「聞いてないんだよ。みんな。例えば政治家同士の談合だったら、自分たちの談合を喋るところでやるわけじゃない?そうすると、その人たちは、その、立つ瀬ないわけよ。〔一部聞き取れず〕でも、その、いろんなその、水商売の女性だって、やっぱりいろいろ幾変遷を経て(笑)、そこに来てるでしょ(笑)。と、そうすると三味線なら三味線弾く。それ、誰も聞いてないんじゃ、やっぱり、あのー、さらに、おもしろくないわけですよ。」(01:05:15-01:05:48)

湯浅:「はい。あー、よくわかります。それも。私ね、話聞いてくれるっていう意味では与謝野さんですね。与謝野さんは(!)真面目に聞いてくれる。じーっとこっちを見て、あの、こっちは喋ってるんですけど。あれは驚きましたね。あんなにちゃんと話を政治家に聞いてもらうことって、まずないので。」(01:05:48-01:06:10)

佐高:「なるほどねえ。」(01:06:10-01:06:11)

湯浅:「それはすごく、こう、この人信用できるっていう感じが、してきますよ。」(01:06:12-01:06:18)

佐高:「湯浅さんが今、芸者の立場に立ってるわけね。(笑)」(01:06:18-01:06:20)

湯浅:「そうそうそう(笑)。だってなかなか話聞いてもらったことないんだもん(笑)」(01:06:20-01:06:24)

佐高:「なるほどね(笑)。それでね。面白いのはね。あのー、これは中曽根康弘の話なんだけども、ある芸者がちょっと、あのー、ちょっと何ていうのかな、あのー、意地っ張りな芸者がいて、中曽根がいる席でね、『私あの人嫌い』って、中曽根に聞こえるように言った。中曽根は知らん振りしてるでしょ。『無視するところがもっと嫌い』って言った(笑)。うんとね、中曽根って人はね、そこにいる人によって態度違う。つまり、その、例えば自分がその、ゴマすらなきゃなんない人ってのに対しては、徹底的にゴマする。で、自分が偉そうにできる人には偉そうにしてる。そこにしかし芸者はいるわけよ。ね。すると、芸者にとってみれば、自分は石のごとき存在なんだ。芸者には自分がそういう態度変わったことを見られてもいいって思ってるわけでしょ。だから無視してるんですよ。ね。そういうのが、あのー(笑)〔以下略〕」(01:06:26-)


 与謝野馨といえば中曽根康弘、という話も、佐高の手にかかっては、どうやらこんなものであるらしい。それにしても、「普通に私と話しているときは何か丁寧なんだけど、何か運転手さんに対しては、何かすごく上、上下にあるような言い方をする人」(湯浅)、「自分がその、ゴマすらなきゃなんない人ってのに対しては、徹底的にゴマする。で、自分が偉そうにできる人には偉そうにしてる」人(佐高)というのは、やはり佐藤優のことだと思うのだが。

(▼2) 

第7位 「第2のセーフティーネット」

河添:「えー、スペシャルゲストは、あー、与謝野馨さんです。」(30:02-30:06)
湯浅:「どうぞ。」(30:07)
河添:「よろしくお願いいたします。」(30:08-30:09)

〔まばらな拍手、与謝野登場〕

湯浅:「ご無沙汰しております〔まばらな拍手〕。えー、みなさん『第2のセーフティーネット』というのはご存知ですかね?あの、前にここでも一回やりましたけども、あのー、今、訓練・生活支援給付とか、住宅手当とか、総合支援資金貸付とか、言われているもの、まあ全部まとめて「第2のセーフティーネット」って言うんですが、あのー、あれはあのー、ご存じない方もおられるかもしれませんが、実は、あのー、えー、平成21年ですか、2009年のあの、第一次補正で、えー、入ってできたものでして、当時はあのー、自公政権、政権交代が8月ですから、その前なんですね。えー、ですので、あれを作られた中心人物というのは、あのー、実は自公政権の方たちで、その中でも中心になっておられたのが与謝野さん!ということで、えー、今日はそのことを伺いに、与謝野さんに来ていただきました!〔まばらな拍手〕」(30:25-31:24)

与謝野:「えー、与謝野馨でございます。えー、失業っていうのは、あのー、中曽根〔康弘〕さんが、あのー、何年前、40年ぐらい前に、わたくしに言っておられたのは、『与謝野君、失業っていうのが社会的にも世の〔?〕中の最も大きなものの一つだよ』と。そういう認識を持ってる。それはあのー、自民党っていうのは、あのー、実際はあのー、非常に社会主義的な政策をやってきた、実は政党であったわけです。で、平成、2008年にリーマンショックが起きたときに、我々はそれまでまあ、いろいろな勉強をしてましたんで、その、何が恐ろしいかというと、やっぱりニッポンの経済が底が抜けちゃうと。これがまあ、最も恐ろしいなと、あのー、思ってました。

 そこであのー、失業っていうのはどういう数字になるかっていいますと、ヒットラーが出てきたときのドイツの失業率は44%くらいですから、ま、だいたい4割以上の人が失業してたというので、ああいうナチスという泡沫政党が一気に政権を取っちゃった。そういう背景があります。それから1929年の世界大恐慌の後ですけども、えー、そのときあんまりみんな気がつかなかったんですけど、3年経ったときに失業率は33%になっていました。

 えー、現在の日本の失業率が5%、アメリカは10%ですけども、この5%ってのは実はえー、本当に社会の実態を反映していないと。実は失業っていうのは、あのー、企業内失業といって、会社がすぐ、この、解雇なんてことをしないで、会社の中で人を変えてるわけです。それは企業の負担になりますから、えー、それは雇用調整助成金という制度で、それは面倒見てます。それから失業保険というのもありますと。だけども、それだけじゃ不十分ではないかというのが、皆さんの意見で、で今湯浅さんが言われた『第二のセーフティーネット』っていうことで、何をしたかと。解雇された途端に社宅を出て行きなさいと言われる、と。これに対する手当をどうするか。他に行こうっつっても、技術がない、というのは、方は、訓練期間にちゃんと政府がお金を用意して、生活もできる、再訓練もできる、そういう制度も作りました。

 その他、あのー、いろんな細かい政策をやったんですが、それどういう手法に基づいてるかっていうと、あのー、政治はマクロ、全体のことも実は考えなきゃいけないんだけども、日本経済全体、どうするかっていうことも考えなきゃいけないんだけども、ミクロの部分、いわゆる個人のレベル、あるいは小さいコミュニティの中で何が起きてるか、そういうこともちゃんとわかって政策をやらないと、そのー、本当の正義ってものは実現できないんだろう、とまあ我々思ったわけです。

 で、今年もあのー、、新卒の人たちの就職状況ってのは、高卒で5割くらいの方がまだ決まんないと、大卒で決まった人は6割しかいない。これはもう異常な世界であって、これはやっぱり正していくっていうこと、やっぱり政治を真剣にやんなきゃいけない。それともう一つはやっぱり、私もよく言ったんだけども、同じ職場で同じ仕事をしてて、賃金がこんなに違うと、それから、健康保険とか年金とかもこんなに違うと。これはやっぱり社会的不公平、不正義であるというのが、あの、自民党の実は考えでもあったわけです。

 そこであのー、日本の経済っていうのは容易じゃない。なぜかっていうと、中国や東南アジアの安い賃金が、ニッポンの賃金を低い方に引っ張っていくと。低い方に引っ張っていく。グローバライゼーションというのは、経済に国境はないわけですから、どうしても、あのー、例えば、これはどなたか会社をやってて工場を作ろうっていうときに、資本をどうやって調達すんのか、土地はあるか、労働者はどうなんだ、労賃はどうなんだ、税制はどうなってんだ、社会的な背景はどうだ、そういうことを考えながら選択すんですけども、やっぱり今みたいな状況になると、経営者は安易に海外に出て行ってしまう、という、これをやっぱり是正するってことがやっぱり、政治の目標じゃなきゃいけない、と私はそう思っています。

 それで今、あのー、私は、あのー、野党になって、あのー、ほぼ政治家として失業してるんですけども〔会場やや笑い〕、あのー、ちゃんとよく真面目に遊んで真面目に勉強しようっていうんで、えー、テーマを決めて勉強してんです。一つはあのー、物理とか数学とかって、そういう別の分野の勉強してんですが、これはやっぱり脳細胞が衰えないようにやってるんですが、あのー、一月くらい前から、哲学の本をいっぱい読んでて、さっき共産党の小池さんがおられたんで、今ちょっとマルクスの勉強を始めたとかって言ったんですけど。小池さんが『それはいいことだ』って仰った〔湯浅笑い〕。

 それで、今あのー、政治の状況っていうのは、あのー、アリストテレスっていう万学の祖という、あらゆる学問を開いたギリシアの哲学者がいるんですけども、そのアリストテレスはその国家論の中で三つの政治体制を、あのー、比較してるんですよ。専制君主の政治、それから貴族が政権を取ってるっていう政治、それから民主制。で、どの政治体制も悲劇が待ってるんです。民主制も悲劇が待ってる。それは何かっていうと、みんなでやってるから、誰の仕事でもない。民衆は演説したり騒ぐんだけども、本当に仕事をしてる人は一人もいないんです〔会場やや笑い〕。これはほんとなんです。会議はせずとも決せずと。決しても実現せずと。そういうことになってる。それでまあ、私は日本の有権者のレベルは高いと信じてるんですけども、やっぱり自民党もちょっとモタモタしてたもんですから、ああいうデマゴーグが出てきて、えー、今やってんですけど、まあ政治がゴタゴタしたってどうってことはないんだけども、それによって国民が不幸になるってことは、これは許してはいけないことだと私は思ってます〔まばらな拍手〕。以上です。」(31:26-41:52)

湯浅:「はい、ありがとうございました。何分くらい後あんの?あ、もう与謝野さんいっぱい喋ったから、あんまり時間がなくなってしまいました(笑)。いえいえいえいえ。いいんですけど(笑)。えーと、今、あのー、『第2のセーフティーネット』の話に戻すと、だいたい今、十、訓練生活寄付で13万人くらいですかね。えー、住宅手当で7万人ぐらい。今、一年半くらい経ってまあ、20万、計20万人くらいの利用、どうですかね?」(41:53-42:20)

与謝野:「あのー、実はあのー、湯浅さんにもずいぶん知恵をお借りして、やっぱりただ予算つけますって言って、その具体性のないものでは、ピンポイントに人を助けられないものっていうんじゃ困るというんで、湯浅さんからこういうものはどうか、こういうものはどうかって、いろんなお話を伺って、あのー、ずいぶんお金を使ったわけです。私一人で、えー、一次補正、二次補正で、あのー、18兆円くらい使っちゃったんですけど、あのー(笑)」(42:20-43:07)

湯浅:「一人で使ったっていうのとは違う(笑)。あの、語弊が(笑)。あの、一応テレビカメラも入ってますので、はい(笑)〔会場やや笑い〕」(43:08-43:15)

与謝野:「使っちゃったっていうのは〔会場やや笑い〕。だけど皆さん、お金使うって大変ですから。一兆円のお金を何かに使おうっつっても、考えるのは、一月間、朝から晩まで考え抜いてるんです。今、経済がある程度の水準で維持できているっていうのは、あの、リーマンショックの後の麻生さんの決断のおかげだと思いますよ。麻生さんのこと、あのー、みんな漢字が読めないなんて言って、言う人いるんだけど(笑)、あの人は経済がこういうことですからこういうことをしましょうってわかったんです、非常にね。言えば『わかった、やる』って。実に、あのー、いい総理大臣だったんです〔会場やや笑い〕。『ちょっと考えて明日返事する』なんて人はもう、仕事の相手としては大変なんですよ。」(43:15-44:17)

湯浅:「そうなんですか(笑)。はい!ということで。えー、すいません。短い時間でしたが、あのー、ずいぶん何か乗ってきたところで、すいません(笑)。あのー、時間が来ちゃいまして申し訳ありませんでしたが、ありがとうございました!〔拍手〕」(44:19-44:36)

河添:「え、あのー、非常に面白い話でしたよね。」(44:43-44:46)
湯浅:「なんかどんどん乗ってきましたね。」(44:46-44:48)
河添:「あと20分くらい話していただくと、相当面白い話が。」(44:48-44:51)
湯浅:「そうするとあと50分くらい行きそうな感じですね。」(44:51-44:53)
河添:「そうですね。」(44:54)


 USTREAM:「反貧困たすけあいネットワーク3周年記念イベント中継」
 http://www.ustream.tv/channel/breadandroses

(▼3) 以下、強調は引用者による。

税・社会保障一体改革をめぐって

 菅首相は、一月の内閣改造において与謝野馨を経済財政担当大臣に任命し、税制と社会保障制度を総合的に改革することに意欲を示した。これについては野党の反発はもとより、与党内からも増税シフトという批判を集めている。しかし、この布陣には、「生活第一」を国民合意のもとに安定した政策基軸に高める可能性があると期待できる。

 そもそも与謝野は、自公政権末期の社会保障国民会議や安心社会実現会議の中心として、社会保障改革の議論を主導した経験がある。〔中略〕当時、小さな政府路線からの転換に関しては、程度の違いはあったが、実は政党間で共通の問題意識が存在したのである。〔中略〕

 菅首相と与謝野が目指そうとしているのは、かつて自公連立の福田、麻生政権でも主張していた「人生全般をカバーする社会保障」である。〔中略〕福田、麻生政権以降の自民党の展開と民主党の言う「生活第一」の両方を公平に視野に入れるならば、新しい社会保障モデルで幅広い国民的合意を構築することも、決して荒唐無稽な話ではない。〔中略〕

 問題は国民の理解を得るための手順と議論の中身である。各種の世論調査が示すように、国民は社会保障を確保するためであれば、税負担の増加を受け入れる用意があると考えている。しかし、税制改革や負担増の問題を議論するときに人々が不信感を持つのは、負担増がどのような社会をつくり出すことにつながるのか、はっきりした道筋が見えないからである。

 その際の障害は、財務省と経済界という二つの主体である。〔中略〕

〔中略〕大きな負担で大きな福祉国家を作るのか、小さな負担で貧弱な社会保障を選ぶのかは、国民が決めることである。しかし、、財務官僚は分際を超えて、国民の選択を先取りしてきた。税と社会保障の一体改革の中では、このような財務官僚の越権を打破しなければならない。

〔中略〕経済界は、臆面もなく自己利益を主張する最後の圧力集団である。日本の企業が利益を追求するために労働市場の流動化を進めたことこそ、日本人の生活の安定を脅かす一因となった。かつてのように終身雇用で日本人の生活を支えろというのは過剰な要求だろうが、それが崩壊した今、社会の底割れを防ぐために応分の負担をせよというのは、真っ当な要求である。経済界が消費税率の引き上げを要求するのは、単に国債の暴落を防ぐためだけであろう。そんな動機の議論が国民の理解を得られるはずがない。

 政治指導者のリーダーシップとは、これらの強者に対して発揮されてこそ本物である。無縁社会と言われるほど社会がここまで衰弱した今、社会保障の再建は急務である。本来手段であるはずの税制改革が自己目的にならないよう、大きな社会ビジョンを示し、財務省の官僚的発想や経済界の自己中心主義を打破することこそ、首相の仕事である。民主党政権を辛抱強く見守るといっても、これだけは譲れないという最後の一線を引かなければならない。菅首相が、財務省や経済界に対して筋を通すことができるかどうかこそ、最後の一線である。(pp.42-44)


 「これだけは譲れないという最後の一線」が「日本人の生活の安定」であるというのは、リベラル・左派の一部(大多数?)の隠れた本音ではあるのだろうが、それを臆面もなく公言してしまえる山口の神経はやはり尋常ではない(しかしまあ、山口が現在のリベラル・左派「論壇」で用済みにならないためには、彼ら・彼女らがさすがに保身のために口に出せずにいる醜悪な本音を自ら進んでダダ漏れさせる以外にないのかもしれないが)。これなら保守・右派との対立軸など生じようもないだろう。

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