2011年03月

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「顕彰の共同体」

 佐藤優が早くも「東京電力の原子力専門家」や自衛隊員を(死者として)顕彰している。


 16日未明から福島第一原発4号機をめぐり危機的状況が生じている。国家の総力をあげてこの危機を乗り切らなくてはならない。

 現場では命を捨てて東京電力の原子力専門家、自衛隊員が危機の回避につとめている。日本人同胞と日本国家のために文字通り命を賭して働いている人に心の底から感謝する。日本人にはこのような、静かだが強い愛国心がある。われわれのこころの中に眠っている愛国心を引き出し、団結して国難に対処しよう。

〔中略〕国民1人1人に求められるのは、日本人の底力に対する自身と信頼を再確認することだ。日本人は、ふだんは国家や民族を意識しなくとも、危機に直面すると、強い同胞意識と静かな愛国心が燃える。だから事態に冷静に対処できる。


 【佐藤優の眼光紙背】:「日本国家と日本人の生き残りは国民の団結にかかっている。」
 http://news.livedoor.com/article/detail/5418235/

 現場で被爆しながら原発の冷却作業をさせられている「東電社員ら」が、原発を推進してきた東電上層部や「原子力専門家」などではなく、その多くが外国人労働者や野宿者を含む最末端の下請け労働者であろう(▼1)ことは、おそらく佐藤も承知の上だろう。彼らを「東京電力の原子力専門家」として――国民の「感謝」や「愛国心」を総動員して――文字通り顕彰することを呼びかける佐藤は、あらかじめ彼らの死を正当化(賛美)することで、政府と東電の責任を免罪し、原発推進派と反対派、原発の需要者(東京など大都市の人々)と供給者(地方の人々)といった、国民間の対立(それぞれ異なる責任のあり方)をも無化しようとしていると言える。

 佐藤ほど露骨ではないにせよ、原発作業員や自衛隊員を(彼らの死を暗黙の前提として)顕彰する言説は、マスコミでもネット上でも最早ありふれてしまっているとさえ言えるかもしれない。佐藤の呼びかける「顕彰の共同体」は、日本人マジョリティの一見「素朴」な感情に訴えるものであるだけに、作業員が「殉職」したら靖国に祀るべきだといった類の(ネット右翼による)書き込みは、問題の所在を端的に示しているのではないか。折りしも昨日16日には、天皇の国民へのビデオメッセージが発表され、ネット上では日本人原理主義者たちが感涙のあまり躍り上がっている(『マガジン9条』のTwitterにもご丁寧に「天皇陛下がメッセージ。」というリツイートがあった)。

 当然のことだが、国家翼賛体制においては、外国人は一層徹底的に治安管理の対象として見なされるため、例えば以下のような重大な人権侵害も、その犯罪性が(マジョリティによって)黙認される傾向が格段に強まっていくだろう(むしろ、日本人が「危機に直面」して、「強い同胞意識と静かな愛国心」を「燃」やしながら「事態に冷静に対処できる」証左として評価すらされるかもしれない)。

 仮放免者の会(PRAJ):「被収容者を部屋に閉じこめ鍵をかける!――大地震発生時の入管の対処」
 http://praj-praj.blogspot.com/2011/03/blog-post_1193.html

 この「顕彰の共同体」を私たちが拒否できるかどうかが、国家翼賛体制の完成を阻むことができるかどうかという点において、当面決定的な意味を持つのではないか。


(▼1) 

 日本では1990年度から放射線影響協会が、文部科学省(旧科学技術庁)からの委託を受け「原子力発電施設等放射線業務従事者等に係る疫学調査」を実施している。〔中略〕

 もうひとつ大きな問題は、日本国籍を持たない人(第Ⅰ期調査では約2500人、Ⅱ期では数の記載なし)、住所情報や住民票が得られなかった人らが調査対象から除かれてしまっていることだ。日本の原子力事業の特徴として、何重もの下請け構造があり、総被曝線量の96%は下請け労働者で占められている。高線量被曝をしている可能性のある外国人や住民票のない人らを追跡調査する必要がある。私たちは厚生労働省に対し、離職した放射線作業者に健康管理手帳を交付することを求めている。離職後の作業者の健康診断などとリンクさせた積極的な調査が必要だ。


 原子力資料情報室(CNIC):「日本の放射線従事者に関する疫学調査のありかた」
 http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=280

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