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Rawan URL 2010-10-25 (月) 23:27

「領土問題で議論したいやつはA~Fをちゃんと読んで高次の議論をしてくれ。ただし、Aは過去のものになっているから、それに依拠して語るやつはバカだ、なぜってB~Fがあるから。でも、私はどれもちゃんと読んでないよ、だって領土問題に興味ないんだもーん」

これは早く撤回しておかないと、氏の今後の信用にかかわるでしょうな。

井上論文の最初は1972年ですが、当時の中国はこれをよく把握して示した上で、なおかつ「国交樹立」「関係強化」の観点から政治的に「一時棚上げ」されたことに乗じた日本政府の姑息な見解(これって「閣議決定だけでの領有権獲得」と同じ構図)があり、そのままオールジャパン化していることくらいは押さえておかないでどうするんでしょうかね。

latter_autumn 唖然 URL 2010-10-26 (火) 16:46

「少なくとも次の著作を検討する必要があります」と書いた直後に「私はA~Cを入手していますが、ちゃんと読んでいません。D~Fは入手していません。」とのたまい「いずれにしても、井上説は過去のものとなっています」と結論する前田氏の神経には、ぶっ飛びました。
自分ではちゃんと読んでないというか検討してないから、「井上説のどこが間違いか」を具体的に指摘できない訳ですね。どっちがニセ学者なんだか。

m_debugger URL 2010-10-27 (水) 00:05

>Rawanさん

Cはネット上でも読めますが、Aに依拠しつつ、現状では「日中どっちもどっち」→「棚上げ」論を支持しています。
http://www.geocities.jp/ktakai22/murata.html

D~Fは入手しづらいですね。一応目を通しておきたいので、国立図書館に行くしかないという感じです。

>日本政府の姑息な見解(これって「閣議決定だけでの領有権獲得」と同じ構図)

なんかこんなのばっかりですよね。とりわけ興味深いのは、「昨日の産経新聞では、EとFこそが日本領土論の最大の根拠として取り上げられています」という発言でしょう。つまり、沖縄が侵略国の「国民の正史」を積極的に担おうとすることについて、産経が絶賛し、左派も歓迎することで、排外主義が貫徹されているわけです。佐藤優の提唱する「国民戦線」が、<佐藤優現象>に反対している(いた)はずの左派を重要な構成要素として、完全に実現されているのではないでしょうか。


>latter_autumnさん

「オール・ジャパン」現象のもとでは、どれほど粗雑な論理であっても、<空気>を読みさえすれば、日本人同士ではさほど批判を受けずに済むので、ここで踏みとどまらないと、もう洒落にならないと思うんですよね。もっとも、自覚的に<空気>を読んでいるならまだしも、左派の多くは実はそれすらしていないのではないか、という気もします。恐ろしいことに、ごく自然に「オール・ジャパン」現象に適応しているように見えるんですよね。

Rawan URL 2010-10-27 (水) 03:19

>沖縄が侵略国の「国民の正史」を積極的に担おうとすることについて、産経が絶賛し、左派も歓迎することで、

これは「台湾は親日」と似たようなもので、重層性に背を向けているんですよね。左派としては死態同然です。
前田氏は仮に「独島=竹島」で同じような騒ぎが発生した場合にも、「領土問題は関心無い」と在日にいうつもりなんでしょうかね。

Cは私もネットで読みました。
国交樹立・強化過程における「棚上げ」が、日本国内における政府の姑息な見解と議論阻止に至らしめたことを推察できる側面もあり、また「政府の見解を鵜呑みにしてはいけない」と歴史的事実・真実の重要性を強調しているにもかかわらず、「どっちもどっち、知恵を絞って…」に結論付けるあたりは、先の浅井氏の場合と同じで、なんでそうなるのといった感じですね。
結局これも「空気」を読んじゃって、批判回避の為に「一線を越えない」ようにしちゃっているというか…

m_debugger URL 2010-10-27 (水) 22:57

>Rawanさん

E、Fを国会図書館で読んできました。予測していたように、Aを覆すような歴史的検証はまったくなく、「発刊の辞(上)」には、沖縄側は尖閣=釣魚島を「自国の領土だったから調査した。(他国領土なら調査しないし、できない)。これこそ確固たる実効支配ではないか」と書いてありました。侵略国の「国民の正史」そのままですね。

>前田氏は仮に「独島=竹島」で同じような騒ぎが発生した場合にも、「領土問題は関心無い」と在日にいうつもりなんでしょうかね。

「8・22日韓市民共同宣言大会」で採択された「植民地主義の算と平和実現のための日韓市民共同宣言」には、「(18)竹島、独島は日露戦争に便乗して日本に強制編入させられており、明らかに植民地支配の一環として起こった歴史問題である。独島について「領土問題」として各教科書に記述させるような措置を中止すること」とあるので、さすがにそうではないと思いますが・・・。
http://byoubyou.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/822-0c59.html

ただ、最近(10月13日)になって再掲された、前田氏自身の2006年の文章を読むと、独島が(釣魚島とは違って)「領土問題」ではない、というような語りにはなっていませんね。
http://maeda-akira.blogspot.com/2010/10/blog-post_13.html

前田氏が「共同宣言」に示されている認識を共有しているのであれば、このように語る(過去の文章をよりによってこの時期に再掲する)ことはちょっと考えにくいので、独島についても釣魚島と同じように反応する可能性は否定できないかもしれません。

Rawan URL 2010-10-28 (木) 03:35

>E、Fを国会図書館で読んできました。
お疲れです。

>沖縄側は尖閣=釣魚島を「自国の領土だったから調査した。(他国領土なら調査しないし、できない)。これこそ確固たる実効支配ではないか」

世界史におけるどんな帝国主義・植民地支配であろうが、実効支配したら測量したり、人口を調べたりしますわな、そりゃ。
結局、あからさまに開き直っているだけですか?まさに
>>侵略国の「国民の正史」そのままですね。


>「8・22日韓市民共同宣言大会」で採択された
>このように語る(過去の文章をよりによってこの時期に再掲する)ことはちょっと考えにくいので、

最新の26日のブログでは「国際法の暴力」について、書籍を紹介して言及していますね。

なんか、私の頭が悪いせいか、どうも何が言いたいのかよく分からなくなってきました(苦笑
分からないというのは、つまり「8・22日韓市民共同宣言大会」のような場では具体的に言及する。
一方で、一般論としての「領土」というものには国家・民族の「敵対的」な構図としての概念があって、遠い将来そのようなものは無くなるべきといった観点から(尖閣/釣島を)語ってしまっているというか、混同しているというか、好意的に見ればそんな感じもします。
ただ、そういったことは前提を明らかにして、どういう観点で語っているのかを明確にしなければ、意味が捉えられなくなりますから、無秩序な書き方は基本的に間違っているはずなんですけどね。

m_debugger URL 2010-10-28 (木) 12:51

>Rawanさん
>なんか、私の頭が悪いせいか、どうも何が言いたいのかよく分からなくなってきました(苦笑

端的に、「なお、私は尖閣諸島にしても竹島/独島にしても、領土問題自体にはさして興味
がありません。領土観念を支える近代国際法の発想や、「領土ナショナリズム」
が産み出されるメカニズムには興味があります。」
http://list.jca.apc.org/public/cml/2010-October/006079.html
だそうです・・・・・・。予定を変えて次回も前田氏批判をするべきでしょうかね。とりいそぎ。

Rawan URL 2010-10-28 (木) 15:21

「領土問題自体にはさして興味がな」いのに「授業でとりあげ」るつもりとは、興味のある「「領土ナショナリズム」が生み出されるメカニズム」についての授業「だけ」をしたいがために当該文献を取り寄せているということなのでしょうかね?ますますもって意味が分かりません(苦笑
いずれにしても、それが「井上論文は過去のもの」「デタラメ学者」に繋がるはずはないのですが。

K URL 2010-11-01 (月) 09:45

反日デモと民主的ナショナリズム(中島 岳志) 2010/10/29
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/data/fusokukei/data_fusokukei_kiji.php?no=1492

m_debugger URL 2010-11-04 (木) 22:53

>Rawanさん
上で「E、Fを国会図書館で読んできました」と書いてしまいましたが、読んだのはE、Fではなく、D、Eの間違いでした。すみません。Fは国会図書館にもなく、尖閣諸島文献資料編纂会のサイトでも紹介されていませんが、産経新聞が宣伝しています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101013/plc1010130416000-n1.htm

Dは「両論併記」(笑)の資料集なので、「Dの登場によって、井上説は過去のものとなったと見」ることはできないですね。それなりに読むべき箇所はありますが、浦野起央が自らのスタンスを公平に見せるために編集したという一面があることは否定できないと思います。

Rawan URL 2010-11-05 (金) 17:22

>Fは国会図書館にもなく、尖閣諸島文献資料編纂会のサイトでも紹介されていませんが、産経新聞が宣伝しています。

「尖閣諸島が日本の領土となったのは、明治28年(1895年)である。だが、それ以前の……」
いや、だから、どうやって明治28年に領土にしたのかって話で。

「慎重な調査を続けるわけでもなかった。何もしなかったのである。」
だって、清国領土という認識があったんじゃないのって話で。

特命希望 URL 2012-11-10 (土) 00:03

はじめまして、特命希望と申します。大日本帝国が釣魚島併合を非公開の閣議で決議したのはこの記事を読むまで知りませんでした。
これはまさしく、清が領有していた事を認識していたからこその後ろめたさから来たものでしょうね。
ただ、ヘイトスピーチに反対する会のリンク先を見て見ると、次のような反論コメントがありました。

(引用開始)
抜けているので補足してあげます。
1953年1月8日:中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』が資料欄において、「琉球群島人民のアメリカによる占領に反対する闘争」と題した記事を掲載。尖閣諸島を日本名で「尖閣諸島」と表記し、琉球群島(沖縄)を構成する一部だと紹介する。
1970年1月:中華民国の国定教科書「国民中学地理科教科書第4冊」(1970年1月初版)において尖閣諸島は日本領として扱われ、「尖閣群島」という日本名で表記されている。
1971年12月30日:中華人民共和国が外交部声明という形で尖閣諸島の領有権を主張
(引用終了)

この人民日報の記事を見る限り、日本共産党はじめ、日本国内の政党・メディアの大半が「中国は尖閣諸島の領有権を放棄し、日本による領有を認めてきた」と主張するのは正当性があると思うのですがどうでしょうか。

m_debugger URL 2012-11-15 (木) 12:23

>特命希望さん
コメントの反映とお返事が遅れてしまい、申し訳ありません。

釣魚島をめぐる日中の主張については、浅井基文氏が詳細な比較対照表を作成されているので、そちらをご覧いただくのが一番よいと思います。
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2012/499.html

その上で、上記の人民日報の記事ひとつで中国側の主張の正当性が覆されるとなお思われるのでしたら、また書き込みをお願いします。

ところで、原典に当たってみましたが、上記の人民日報記事は、日本の領土としての「琉球群島」について述べているのではなく、日本から分割されて米国の軍政下にあった当時の「琉球群島」について述べたもので、尖閣=釣魚島も米国の軍事占領下にあったために、その一部として言及されています。確かに「尖閣諸島」という言葉が使われてはいますが、同日の紙面にも日本の対アジア軍事化、「琉球群島」の米軍基地強化を批判する記事が多数あり、中国政府の意図が釣魚島の日本領有の正当性を認めることにあったとはとても思えません。「尖閣諸島」という単語一つで大勢が決着すると考えるような甘い認識では、どこの国にも相手にされないと思いますが。

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Home > スポンサー広告 > 尖閣=釣魚島をめぐる諸言説批判――(2) 前田朗「尖閣諸島問題の基本文献について」

尖閣=釣魚島をめぐる諸言説批判――(2) 前田朗「尖閣諸島問題の基本文献について」

 先日の浅井基文氏批判に続いて、今回は尖閣=釣魚島(Diaoyu Dao)をめぐる前田朗氏の言説を見ていこう。


(2)前田朗「尖閣諸島問題の基本文献について」

 前田朗氏は、CMLという左派MLで、10月14日、10月15日、10月20日に、尖閣=釣魚島をめぐって発言されている。前田氏の発言の要旨は、「いずれにしても、井上説は過去のものとなって」おり「これに依拠して尖閣諸島領土問題を語ることは危険であり、もはや時代錯誤の域に入りかね」ないというものである。私は「井上説」のみに依拠して尖閣=釣魚島の歴史的経緯を語っているわけではないが、前田氏の投稿を読まれた読者が、日本国家・日本国民に対して尖閣=釣魚島の帰属問題を日本のアジア侵略の歴史の中に位置づけさせようとする要求(私のブログ記事も含むが、主には中国を始めアジア民衆からの抗議)を、「時代錯誤」であるとして切り捨てるようになっては堪らないので、必要最小限の再批判をしておきたい(なお念のため断っておくが、私はCMLのメンバーではなく、ML上の議論にはまったく参加していない)。

 前田氏は10月14日の最初の投稿で次のように述べておられる(強調は引用者による。以下同様)。


以下は、2つのML――[CML]および[pmn-ml]――へのある的確な投稿、及びそれに対するいく人かのリプライを読んでの私の感想、情報提供です。ほかのMLにも同報します。

この間、尖閣諸島の領土問題への関心が高まり、井上清の著作に注目が集まっています。ネット上で中国側は、下記のサイトをもとに議論しているといわれています。

「尖閣」列島 ――釣魚諸島の史的解明(井上清 初版1972/再刊1996)

http://www.mahoroba.ne.jp/~tatsumi/dinoue0.html

日本でも井上支持を唱える学者や市民が多数います。しかし、井上説を根拠にするのは危険です。ひたすら井上説を持ち上げている「政治学者」がいますが、ニセ学者と言っていいでしょう。少なくとも次の著作を検討する必要があります(他にもありますが割愛)。

A)井上清『「尖閣」列島――釣魚諸島の史的解明』(第三書館、1996年[現代評論社、1972年])

B)浦野起央『尖閣諸島・琉球・中国――日中国際関係史分析・資料・文献』増補版(三和書籍、2005年)

C)村田忠禧『尖閣列島・釣魚島問題をどう見るか――試される二十一世紀に生きるわれわれの英知』(日本僑報社、2004年)

D)浦野起央、劉甦朝、植栄辺吉『釣魚台群島(尖閣諸島)問題―研究資料匯編』
(刀水書房、2001年)

E)『尖閣研究――高良学術調査団資料集』(上下巻、尖閣諸島文献資料編纂会、
2008年)

F)『尖閣研究――尖閣諸島海域の漁業に関する調査報告』(尖閣諸島文献資料編纂会)

BやDの登場によって、井上説は過去のものとなったと見られています。また、昨日の産経新聞では、EとFこそが日本領土論の最大の根拠として取り上げられています。いずれにしても、井上説は過去のものとなっています。井上清の思想や方法論を知るためには有益でしょうし、学ぶべき点もあるでしょう。しかし、尖閣諸島の領土問題を論じるための根拠とするには、再検討が必要です。

私はA~Cを入手していますが、ちゃんと読んでいません。D~Fは入手していません。


 CML[005959]:「尖閣諸島問題の基本文献について」
 http://list.jca.apc.org/public/cml/2010-October/005852.html

 前田氏がなぜ「ちゃんと読んでい」なかったり「入手してい」なかったりする文献を根拠に、「井上説を持ち上げている「政治学者」」は「ニセ学者と言っていい」、「いずれにしても、井上説は過去のものとなっています」と公言されているのかは謎である(もっとも理由はいくつか推測できるような気がするが)。ちなみに、私はA~Cを「ちゃんと読」み、浦野の著書が井上の論文に対する実証的な反論たりえないことを示している。前田氏が良心的な人物であることは私も承知しているが、それだけに尖閣=釣魚島をめぐる前田氏の発言は、あまりにも不用意であると呆れざるを得ない。そもそも、前田氏は私が指摘したような浦野の歴史観についてはどのように考えておられるのだろうか?それすらも「ちゃんと読んでい」ないということなのかもしれないが、浦野の歴史観が右派のものであることは、任意の数ページを読めば、それなりに察しがつくと思うのだが・・・。

 前田氏は、翌10月15日の投稿(「Re: 井上論文に対する沖縄からの反論」)でも、「井上清の著作に依拠して尖閣諸島領土問題について議論する人は、おそらく[CML]の議論水準はこんなに低くてどうしようもないのだと世間に宣伝することを目的としているのでしょう。情けなくて涙が出そうです(笑)」と書かれている。私は「[CML]の議論水準」にはたいして関心もないが、この件に関して言えば、前田氏に「[CML]の議論水準」の低さを嘆く権利があるとは思えない。前田氏は10月23日にも次のように述べ、「尖閣諸島は本当に日本固有の領土なのか?」と題する小林善樹氏の読者投稿を暗に(?)貶めておられるが、前田氏の以下の批判は、どう考えても前田氏自身に向けられるべきものではないのだろうか。


尖閣諸島問題では、いくつかのMLや掲示板でも最新の「週刊金曜日」820号でも、ろくに勉強せずに殴り書きしたような見解が堂々と掲載されています。保守論壇でも保守論壇にしか通用しない議論がまかり通っています。どちらも、勉強なんかするものか、資料なんかちゃんと調べるものか、大声出せば勝ち、みたいな印象を受けます。


 CML[006097]:「Re: 前田朗さんの「みどり見解」へのご指摘に関して」
 http://list.jca.apc.org/public/cml/2010-October/005986.html

 当然のことだが、前田氏は常日頃から無根拠に他者を誹謗するような発言をされているわけではない。それではなぜ、前田氏は尖閣=釣魚島に関してこれほどひどい主張を繰り返しておられるのだろうか。思うに、その理由の一つは、前田氏のナショナリズム理解にある(他にも思いつく理由はあるが、あまり生産的ではないと思われるので書かないでおく)。再び10月14日の投稿を見てみよう。


(いずれにしろ、私は、領土問題にはさして関心がありません。私の関心は、「領土ナショナリズム」「民族ナショナリズム」がいかに形成されるか、いかに国際問題を引き起こすかという点です。「非国民入門セミナー」主催者としては、領土・民族・国民といったイデオロギーとのたたかいいこそ重要です。ですから、今のところ、尖閣諸島の領土問題それ自体について発言する気はありませんが、この問題を議論する方たちには、井上本だけを根拠にするような愚は避けたほうがいいとお知らせしておきたいと思います。)


 「日本の侵略責任がまさに問われるべき問題を、二国間のナショナリズムの対立として矮小化し、それらを「非理性的」なものとして「対等」に切り捨ててしまう」左派の論理の危うさについては、浅井氏批判の回ですでに指摘したが、浦野起央の著書に依拠して井上清の論文をほぼ全否定することで、(結果的に)日本政府の立場に与しておられる前田氏も、この危うさから逃れられていないようである。前田氏に限らず、おそらく日本人左派の大多数は、今回の事件によって中国民衆から改めて突きつけられた「反日」を、自らに向けられた批判として引き受けることを、(ほとんど無自覚のうちに)回避しようとしているのだと思う。前田氏の言説に見られる、「領土問題」に対する傍観者的態度、日本の侵略責任を問うアジアの「反日」を、日本の排外主義と同様に、解体するべき「ナショナリズム」として名指すような思想、そして「オール・ジャパン」現象への同乗は、いずれも尖閣=釣魚島をめぐる歴史的経緯を無化する左派の典型的な反応であると言えるだろう。

 ところで、ここで無視できないのは、左派の「オール・ジャパン」現象への併呑が、沖縄への「連帯」と同時進行的に起こっている、ということである(ただし、この問題については次回に持ち越す)。もう一点述べると、アジアの「反日」と向き合えない左派は、(過去の事例を見る限り)ほぼ確実に「転向」してくだろう、と私は思う。前田氏にとって、日本(国民)が侵略によって得た既得権を歴史的検証によって批判・解体しようとする試みを否定する、浦野の言説を持ち上げることと、在日朝鮮人の権利を保障しようと尽力されることは、互いに矛盾しないのだろうか?

 前田氏は、10月20日の投稿(「広がり激化する「反中国デモ」と、それに反対する座り込みや様々なアクションが始まりました!」)で、「ヘイトスピーチに反対する会」の記事紹介を含む呼びかけ文を転送されている。「ヘイトスピーチに反対する会」は、まさに前田氏のような、日本による尖閣=釣魚島の「実効支配」を正当化する言論を批判しているのだが、「ヘイト・クライム」に反対する立場から呼びかけ文を転送されている前田氏は、その点には疑問を持たれないのだろうか?(もっとも、リンク先の記事を読まれていないだけなのかもしれないが)。

 いずれにせよ、前田氏は尖閣=釣魚島をめぐる一連の不用意な発言を速やかに取り消されるべきだろう。僭越は承知だが、前田氏自身のためにもそう思う。

Comments:13

Rawan URL 2010-10-25 (月) 23:27

「領土問題で議論したいやつはA~Fをちゃんと読んで高次の議論をしてくれ。ただし、Aは過去のものになっているから、それに依拠して語るやつはバカだ、なぜってB~Fがあるから。でも、私はどれもちゃんと読んでないよ、だって領土問題に興味ないんだもーん」

これは早く撤回しておかないと、氏の今後の信用にかかわるでしょうな。

井上論文の最初は1972年ですが、当時の中国はこれをよく把握して示した上で、なおかつ「国交樹立」「関係強化」の観点から政治的に「一時棚上げ」されたことに乗じた日本政府の姑息な見解(これって「閣議決定だけでの領有権獲得」と同じ構図)があり、そのままオールジャパン化していることくらいは押さえておかないでどうするんでしょうかね。

latter_autumn 唖然 URL 2010-10-26 (火) 16:46

「少なくとも次の著作を検討する必要があります」と書いた直後に「私はA~Cを入手していますが、ちゃんと読んでいません。D~Fは入手していません。」とのたまい「いずれにしても、井上説は過去のものとなっています」と結論する前田氏の神経には、ぶっ飛びました。
自分ではちゃんと読んでないというか検討してないから、「井上説のどこが間違いか」を具体的に指摘できない訳ですね。どっちがニセ学者なんだか。

m_debugger URL 2010-10-27 (水) 00:05

>Rawanさん

Cはネット上でも読めますが、Aに依拠しつつ、現状では「日中どっちもどっち」→「棚上げ」論を支持しています。
http://www.geocities.jp/ktakai22/murata.html

D~Fは入手しづらいですね。一応目を通しておきたいので、国立図書館に行くしかないという感じです。

>日本政府の姑息な見解(これって「閣議決定だけでの領有権獲得」と同じ構図)

なんかこんなのばっかりですよね。とりわけ興味深いのは、「昨日の産経新聞では、EとFこそが日本領土論の最大の根拠として取り上げられています」という発言でしょう。つまり、沖縄が侵略国の「国民の正史」を積極的に担おうとすることについて、産経が絶賛し、左派も歓迎することで、排外主義が貫徹されているわけです。佐藤優の提唱する「国民戦線」が、<佐藤優現象>に反対している(いた)はずの左派を重要な構成要素として、完全に実現されているのではないでしょうか。


>latter_autumnさん

「オール・ジャパン」現象のもとでは、どれほど粗雑な論理であっても、<空気>を読みさえすれば、日本人同士ではさほど批判を受けずに済むので、ここで踏みとどまらないと、もう洒落にならないと思うんですよね。もっとも、自覚的に<空気>を読んでいるならまだしも、左派の多くは実はそれすらしていないのではないか、という気もします。恐ろしいことに、ごく自然に「オール・ジャパン」現象に適応しているように見えるんですよね。

Rawan URL 2010-10-27 (水) 03:19

>沖縄が侵略国の「国民の正史」を積極的に担おうとすることについて、産経が絶賛し、左派も歓迎することで、

これは「台湾は親日」と似たようなもので、重層性に背を向けているんですよね。左派としては死態同然です。
前田氏は仮に「独島=竹島」で同じような騒ぎが発生した場合にも、「領土問題は関心無い」と在日にいうつもりなんでしょうかね。

Cは私もネットで読みました。
国交樹立・強化過程における「棚上げ」が、日本国内における政府の姑息な見解と議論阻止に至らしめたことを推察できる側面もあり、また「政府の見解を鵜呑みにしてはいけない」と歴史的事実・真実の重要性を強調しているにもかかわらず、「どっちもどっち、知恵を絞って…」に結論付けるあたりは、先の浅井氏の場合と同じで、なんでそうなるのといった感じですね。
結局これも「空気」を読んじゃって、批判回避の為に「一線を越えない」ようにしちゃっているというか…

m_debugger URL 2010-10-27 (水) 22:57

>Rawanさん

E、Fを国会図書館で読んできました。予測していたように、Aを覆すような歴史的検証はまったくなく、「発刊の辞(上)」には、沖縄側は尖閣=釣魚島を「自国の領土だったから調査した。(他国領土なら調査しないし、できない)。これこそ確固たる実効支配ではないか」と書いてありました。侵略国の「国民の正史」そのままですね。

>前田氏は仮に「独島=竹島」で同じような騒ぎが発生した場合にも、「領土問題は関心無い」と在日にいうつもりなんでしょうかね。

「8・22日韓市民共同宣言大会」で採択された「植民地主義の算と平和実現のための日韓市民共同宣言」には、「(18)竹島、独島は日露戦争に便乗して日本に強制編入させられており、明らかに植民地支配の一環として起こった歴史問題である。独島について「領土問題」として各教科書に記述させるような措置を中止すること」とあるので、さすがにそうではないと思いますが・・・。
http://byoubyou.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/822-0c59.html

ただ、最近(10月13日)になって再掲された、前田氏自身の2006年の文章を読むと、独島が(釣魚島とは違って)「領土問題」ではない、というような語りにはなっていませんね。
http://maeda-akira.blogspot.com/2010/10/blog-post_13.html

前田氏が「共同宣言」に示されている認識を共有しているのであれば、このように語る(過去の文章をよりによってこの時期に再掲する)ことはちょっと考えにくいので、独島についても釣魚島と同じように反応する可能性は否定できないかもしれません。

Rawan URL 2010-10-28 (木) 03:35

>E、Fを国会図書館で読んできました。
お疲れです。

>沖縄側は尖閣=釣魚島を「自国の領土だったから調査した。(他国領土なら調査しないし、できない)。これこそ確固たる実効支配ではないか」

世界史におけるどんな帝国主義・植民地支配であろうが、実効支配したら測量したり、人口を調べたりしますわな、そりゃ。
結局、あからさまに開き直っているだけですか?まさに
>>侵略国の「国民の正史」そのままですね。


>「8・22日韓市民共同宣言大会」で採択された
>このように語る(過去の文章をよりによってこの時期に再掲する)ことはちょっと考えにくいので、

最新の26日のブログでは「国際法の暴力」について、書籍を紹介して言及していますね。

なんか、私の頭が悪いせいか、どうも何が言いたいのかよく分からなくなってきました(苦笑
分からないというのは、つまり「8・22日韓市民共同宣言大会」のような場では具体的に言及する。
一方で、一般論としての「領土」というものには国家・民族の「敵対的」な構図としての概念があって、遠い将来そのようなものは無くなるべきといった観点から(尖閣/釣島を)語ってしまっているというか、混同しているというか、好意的に見ればそんな感じもします。
ただ、そういったことは前提を明らかにして、どういう観点で語っているのかを明確にしなければ、意味が捉えられなくなりますから、無秩序な書き方は基本的に間違っているはずなんですけどね。

m_debugger URL 2010-10-28 (木) 12:51

>Rawanさん
>なんか、私の頭が悪いせいか、どうも何が言いたいのかよく分からなくなってきました(苦笑

端的に、「なお、私は尖閣諸島にしても竹島/独島にしても、領土問題自体にはさして興味
がありません。領土観念を支える近代国際法の発想や、「領土ナショナリズム」
が産み出されるメカニズムには興味があります。」
http://list.jca.apc.org/public/cml/2010-October/006079.html
だそうです・・・・・・。予定を変えて次回も前田氏批判をするべきでしょうかね。とりいそぎ。

Rawan URL 2010-10-28 (木) 15:21

「領土問題自体にはさして興味がな」いのに「授業でとりあげ」るつもりとは、興味のある「「領土ナショナリズム」が生み出されるメカニズム」についての授業「だけ」をしたいがために当該文献を取り寄せているということなのでしょうかね?ますますもって意味が分かりません(苦笑
いずれにしても、それが「井上論文は過去のもの」「デタラメ学者」に繋がるはずはないのですが。

K URL 2010-11-01 (月) 09:45

反日デモと民主的ナショナリズム(中島 岳志) 2010/10/29
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/data/fusokukei/data_fusokukei_kiji.php?no=1492

m_debugger URL 2010-11-04 (木) 22:53

>Rawanさん
上で「E、Fを国会図書館で読んできました」と書いてしまいましたが、読んだのはE、Fではなく、D、Eの間違いでした。すみません。Fは国会図書館にもなく、尖閣諸島文献資料編纂会のサイトでも紹介されていませんが、産経新聞が宣伝しています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101013/plc1010130416000-n1.htm

Dは「両論併記」(笑)の資料集なので、「Dの登場によって、井上説は過去のものとなったと見」ることはできないですね。それなりに読むべき箇所はありますが、浦野起央が自らのスタンスを公平に見せるために編集したという一面があることは否定できないと思います。

Rawan URL 2010-11-05 (金) 17:22

>Fは国会図書館にもなく、尖閣諸島文献資料編纂会のサイトでも紹介されていませんが、産経新聞が宣伝しています。

「尖閣諸島が日本の領土となったのは、明治28年(1895年)である。だが、それ以前の……」
いや、だから、どうやって明治28年に領土にしたのかって話で。

「慎重な調査を続けるわけでもなかった。何もしなかったのである。」
だって、清国領土という認識があったんじゃないのって話で。

特命希望 URL 2012-11-10 (土) 00:03

はじめまして、特命希望と申します。大日本帝国が釣魚島併合を非公開の閣議で決議したのはこの記事を読むまで知りませんでした。
これはまさしく、清が領有していた事を認識していたからこその後ろめたさから来たものでしょうね。
ただ、ヘイトスピーチに反対する会のリンク先を見て見ると、次のような反論コメントがありました。

(引用開始)
抜けているので補足してあげます。
1953年1月8日:中国共産党中央委員会機関紙『人民日報』が資料欄において、「琉球群島人民のアメリカによる占領に反対する闘争」と題した記事を掲載。尖閣諸島を日本名で「尖閣諸島」と表記し、琉球群島(沖縄)を構成する一部だと紹介する。
1970年1月:中華民国の国定教科書「国民中学地理科教科書第4冊」(1970年1月初版)において尖閣諸島は日本領として扱われ、「尖閣群島」という日本名で表記されている。
1971年12月30日:中華人民共和国が外交部声明という形で尖閣諸島の領有権を主張
(引用終了)

この人民日報の記事を見る限り、日本共産党はじめ、日本国内の政党・メディアの大半が「中国は尖閣諸島の領有権を放棄し、日本による領有を認めてきた」と主張するのは正当性があると思うのですがどうでしょうか。

m_debugger URL 2012-11-15 (木) 12:23

>特命希望さん
コメントの反映とお返事が遅れてしまい、申し訳ありません。

釣魚島をめぐる日中の主張については、浅井基文氏が詳細な比較対照表を作成されているので、そちらをご覧いただくのが一番よいと思います。
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2012/499.html

その上で、上記の人民日報の記事ひとつで中国側の主張の正当性が覆されるとなお思われるのでしたら、また書き込みをお願いします。

ところで、原典に当たってみましたが、上記の人民日報記事は、日本の領土としての「琉球群島」について述べているのではなく、日本から分割されて米国の軍政下にあった当時の「琉球群島」について述べたもので、尖閣=釣魚島も米国の軍事占領下にあったために、その一部として言及されています。確かに「尖閣諸島」という言葉が使われてはいますが、同日の紙面にも日本の対アジア軍事化、「琉球群島」の米軍基地強化を批判する記事が多数あり、中国政府の意図が釣魚島の日本領有の正当性を認めることにあったとはとても思えません。「尖閣諸島」という単語一つで大勢が決着すると考えるような甘い認識では、どこの国にも相手にされないと思いますが。

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