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Home > スポンサー広告 > 「慰安婦」立法と「国民基金」の連続性を問う (2)

「慰安婦」立法と「国民基金」の連続性を問う (2)

■目次
(1) はじめに
(2) 第二の「国民基金」としての「促進法」
 (2-1) 「促進法」豆知識
 (2-2) (b) 罪責を承認したうえでの日本の公式な謝罪――なし
 (2-3) (c) 生存被害者とその家族に対する適切な賠償――不可
 (2-4) (a) この問題に関して日本政府が所持しているすべての記録及び情報の開示――無理
 (2-5) (d) 加害者の処罰――論外
 (2-6) より完璧な「国民基金」への道――(A) 被害国の世論の取り込み
 (2-7) より完璧な「国民基金」への道――(B) 保守・右派の取り込みと「国民基金」関係者との「和解」
 (2-8) より完璧な「国民基金」への道――(C) 戦後補償運動の日本国家への回収の完成
 (2-9) 結論
(3) 「要綱案」とは何か――他者からの呼びかけの無化
 (3-1) 「要綱案」豆知識
 (3-2) (b) 罪責を承認したうえでの日本の公式な謝罪――なし
 (3-3) (c) 生存被害者とその家族に対する適切な賠償――不可
 (3-4) (a) この問題に関して日本政府が所持しているすべての記録及び情報の開示――無理
 (3-5) (d) 加害者の処罰――論外
 (3-6) アジアの他者を切断する「戦後補償」
 (3-7) 【資料1】戦時性的強制被害者補償要綱に対する意見
 (3-8) 【資料2】「戦時性的強制被害者補償要綱(第1次案)」に対する意見書
 (3-9) 【資料3】第二次案の作成のご報告 被害者並びに支援者の皆さんへ


(2) 第二の「国民基金」としての「促進法」

(2-1) 「促進法」豆知識

 それでは、さっそく「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」(以下「促進法」)の中身を見ていくことにしよう。若干補足をしておくと、「促進法」とは、2000年4月11日に民主党が発表し、その後、共産党案および社民党案との一本化を経て、過去8回(①2001年3月21日 ②2001年11月14日 ③2003年1月31日 ④2004年6月9日 ⑤2004年12月1日 ⑥2005年2月28日 ⑦2006年3月29日 ⑧2008年6月10日)にわたって参議院に提出され、いずれも廃案となってきた法案である。

 ちなみに、「促進法」は直近の3国会(第170回臨時会、第171回常会、第172回臨時会)では上程すらされず、関係者によれば、民主党はもちろん社民党の中でも法案の存在を知らない議員が珍しくないらしい(もっとも、社民党議員は衆参両院合わせて12人しかいないのだが)。この扱いの軽さに加えて、2010年参院選での与党の敗北または民主党の単独過半数確保による、3党連立政権崩壊への左派の危機感が、新政権への期待(希望的観測)と相まって、今回の「日本軍「慰安婦」問題の立法解決を求める緊急120万人署名」(以下「署名」)という与党へのロビイングに行き着いたと言えるだろう。

 なお、同法案は、文末のマイナーチェンジや条文の再編などを除いては、当初から目立った変更がないため、ここでは2008年の最新版を検討していくことにする。

 第一六九回 参第二七号 「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案」
 http://houseikyoku.sangiin.go.jp/sanhouichiran/sanhoudata/169/169-027.pdf


(2-2) (b) 罪責を承認したうえでの日本の公式な謝罪――なし

 最初にごく基本的なことから確認をしておこう。それは、日本軍「慰安婦」(性奴隷制)の核心が国際法違反――具体的には、「醜業ヲ行ハシムル為ノ婦女売買禁止ニ関スル国際条約」(日本は1925年加入)、「強制労働に関する条約」(日本は1932年加入)、「奴隷制及び奴隷取り引きを禁止する国際慣習法」などの当時の国際法違反および、同様に当時の国際法が処罰対象としており、時効不適用の原則が存在していた「人道に対する罪」(「戦前もしくは戦時中にいずれかの民間の住民に対して行われた殺害、絶滅、奴隷化、追放その他の非人道的行為」)に該当する行為――であり、日本国家はそれらについて責任を負わなければならないということである(詳しくは第4章で述べる)。

 さて、法案の目的にあたる第一条を見てみよう。

 「(目的)
第一条 この法律は、今次の大戦及びそれに至る一連の事変等に係る時期において、旧陸海軍の関与の下に、女性に対して組織的かつ継続的な性的な行為の強制が行われ、これによりそれらの女性の尊厳と名誉が著しく害された事実を踏まえ、そのような事実について謝罪の意を表し及びそれらの女性の名誉等の回復に資するための措置を我が国の責任において講ずることが緊要な課題となっていることにかんがみ、これに対処するために必要な基本的事項を定めることにより、戦時性的強制被害者に係る問題の解決の促進を図り、もって関係諸国民と我が国民との信頼関係の醸成及び我が国の国際社会における名誉ある地位の保持に資することを目的とする。」

 なかなかわかりにくい条文であるが、この意図的な回りくどさこそ、「促進法」の本質を能弁に語っているとも言える。この文章をわかりやすく分解してみよう。

 A.日本軍「慰安婦」(性奴隷制)が「旧陸海軍の関与の下に」「行われ」、「慰安婦」被害「女性の尊厳と名誉が著しく害された」ことは事実である。

 B.「そのような事実について謝罪の意を表」し、被害「女性の名誉等の回復に資するための措置を我が国の責任において講ずること」は「緊要な課題」である。

 C.したがって、Bに「対処するために必要な基本的事項を定め」、「問題の解決の促進を図」るものとする。

 AとBは単なる認識であるから、「促進法」の目的は、端的に言って、Cのみであるということになる。しかも、Cにおいて「促進法」が日本政府に課している義務は、「問題の解決」そのものではなく、「問題の解決の促進を図」ることにすぎない(文字通りの「促進法」である)。もう少し言うと、「促進法」の主眼は、「問題の解決の促進を図る」ための機関(「戦時性的強制被害者問題解決促進会議」)を内閣に設置すること(第十条)なのである。

 このことは、「促進法」の上程に協力してきた「戦後補償問題を考える弁護士連絡協議会」(以下「弁連協」)も認めており、弁連協(正確には弁連協内のグループである「元『慰安婦』の補償立法を求める弁護団協議会」)は、自ら発表した「戦時性的強制被害者賠償要綱案」(以下「要綱案」)を、「促進法」の根拠法として位置づけている。根拠法というのは、政府の予算支出を伴う措置を実施するための法的根拠となる法律であるが、「促進法」がこの根拠法になっていないことについては、弁連協の藍谷邦雄弁護士(「元『慰安婦』の補償立法を求める弁護団協議会」座長)も集会などで明言している(「促進法」と「要綱案」の関係については本章第6節で述べる)。簡単にまとめてしまえば、「促進法」は直接の補償立法にはならないということである。

 けれども、より重大で深刻な問題は、実はCではなく、Bで示されている認識――「促進法」が何を「我が国〔注:日本〕の責任」として見なしているのかということ――にある。なぜなら、Bで規定されている日本国家の責任とは、当時の国際法違反という「罪責を承認したうえでの日本の公式な謝罪」ではさらさらなく、「慰安婦」被害「女性の尊厳と名誉が著しく害された」ことへの「謝罪」と「名誉」「回復」のための「措置を」「講ずること」にすぎないのだから。この部分は「促進法」の本質的な問題なので、もう少し丁寧に見てみよう。

 例えば、あなたが今日、自分自身には何一つ非はないのに、突然見知らぬ他人にボコボコに殴られて、意識不明の重態になってしまったとしよう。数十年後、あなたはようやく意識を回復して、必死で加害者を告発したとする。そのとき、加害者がこんなことを言い出したら、あなたはどう思うだろうか?

 A’.「私があなたを殴り、あなたの健康が著しく害されたことは事実である(と認識している)。」

 B’.「そのような事実について謝罪の意を表し、あなたの健康の回復に役立つ措置を私の責任において取ることは重要な課題である(と認識している)。」

 C’.「したがって、私はその課題に対処するために必要な基本事項を定め、この問題の解決の促進を図ることにする。」

 ・・・・・・これほど身勝手な加害者の言い分をあなたは許せるだろうか?自らの行為が犯罪であるという核心的な事実を頑なに認めようとしない加害者による、「問題の解決」に向けた努力とやらを、「心からの謝罪と償い」(「署名」呼びかけ文)として受け入れることはできるだろうか?「促進法」も基本的にはこれと同じであると私は思う。

 話を戻すと、「促進法」について、Aが1993年8月4日の河野談話において示された、日本政府の公式見解を踏襲するものであることはもちろん、Bが日本政府の法的責任を否認するものである以上、Cについても、以下の河野談話=日本国家の従来の立場からそう外れたものになりえないことは容易に予測がつく。

 「政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。」

 慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話
 http://www.mofa.go.jp/Mofaj/area/taisen/kono.html 

 実際、「署名」の呼びかけ文からも、「促進法」が河野談話の延長上にあり、かつそれを肯定的に評価するべきである、と呼びかけ人たちが認識しているらしいことが伺える。

 「1993年に河野洋平官房長官(当時)が、調査結果に基づき「お詫びと反省の気持ちを申し上げる。そのような気持ちを我が国としてどのように表すかについては、今後とも真剣に検討すべきもの」との談話を発表しましたが、その後、なんら進展がありません。私たちが加害国の一員として、また人間として、誠意を表すことのできる時間はもうあまり残されていません。

 政権交代が実現した今こそ、日本軍「慰安婦」問題を解決させる法律を早期に成立させましょう。」

 日本軍「慰安婦」問題の立法解決を求める緊急120万人署名
 http://www.jca.apc.org/ianfu_ketsugi/120.html

 これは、戦後補償運動関係者の間では周知の事柄だと思うのだが、河野談話が「今後とも真剣に検討すべきもの」として念頭に置いていたのは、「慰安婦」問題についての政府の第一次(1992年7月6日)および第二次(1993年8月4日)報告書発表の前後に浮上した「補償に代わる何らかの措置」であり、それを具体化したのが村山政権下で発足した「国民基金」なのである。逆に言えば、河野談話を単に進展させさえすればよいという立場であれば、その論理的帰結として「国民基金」との連続性あるいは同一性は避けられないということだ。事実、「国民基金」推進者の中には、「国民基金」との類似性から「促進法」を批判している人々もいる。私は、彼ら・彼女らとはまったく立場が異なるが、この指摘に関してだけは同感である。

 ところで、実は、「促進法」が「罪責を承認したうえでの日本の公式な謝罪」につながらないことについては、遅くとも2002年の段階で、法案の発議者自らが認めているのである。元共産党参議院議員であり、「署名」の呼びかけ人でもある、吉川春子議員(当時)の発言を引いてみよう。

 「サンフランシスコ条約と二国間条約で法的に決着済みという政府の態度に対して、私たちが今度出した「『従軍慰安婦』に対する補償法」〔注:「促進法」〕は法的な責任を認めるものかどうかということを、皆さんにはっきり報告しなければと思います。

 私は法的な責任を認めるものという立場ですが、三党では決着がついておりません。法制局との間でも決着がついていません。つまりサンフランシスコ条約と二国間条約で決着済みということにすると、それに相反する法律は出せないんです。憲法の仕組みでそうなってますでしょう。しかし私たちは国連とかいろんなところで、法的責任を問われているという立場できたんですが、答弁の検討会の時に、法制局と三党の提案者がケンケンガクガク議論をしまして、これは法的な責任ということよりも、もうちょっとやわらかく「政府としての責任を果たす」というところで折り合っています。私たちの法案の提出をもって政府は条約の抗弁が否定されたという議論があるんですが、残念ながらそこまで明確にしたものではないということを、こういう席ですから率直にご報告しておきたいと思います。」(▼2)

 どうだろう。なかなか「率直」な告白ではないか。ちなみに、「署名」の呼びかけ文には、「私たちは、新政権がこの問題の解決を次世代に持ちこすことなく、一日も早く法律を成立させ、高齢の日本軍「慰安婦」被害女性に心からの謝罪と償いを届けることを求めます」とある。当然のことながら、「促進法」によって定義される「謝罪と償い」が、「罪責を承認したうえでの日本の公式な謝罪」にはまったくなっていないことについては、一言も触れていない。この点を公的な場で「率直にご報告」するのはまずいという判断なのだろうが、はっきり言って、これでは情報の隠蔽による世論の誘導と言われても反論できないのではないだろうか。もちろん、関係者には反論していただいて一向に差し支えないのだが、その場合には私も再反論するだろう。

 長くなったが、本節の結論を改めて明示しておく。私が「促進法」を第二の「国民基金」と呼ぶ所以(の一つ)である。

● (b) 罪責を承認したうえでの日本の公式な謝罪――なし


▼2 吉川春子、「日本の戦争責任資料センター 設立記念シンポジウム 日本政府は国連勧告を真摯に受け止めるべき」、『季刊 戦争責任研究』第38号(2002年冬季号)、pp.30-31

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